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【偽書】虹メイル・アン 〔第六話〕緑の大地に英雄は眠る 22

「君達は仲間と互いに情報を共有しているのか」

「そうです」

「羨ましいな。儂の時代は都度バージョンを更新するしか無かったからな。同じ時期に同僚として働いた仲間…単なる機械だが…彼等も機体の寿命を終えて役目を離れて行った。儂はここに残った最後の初期型だ。軽作業用に改造れてな」

「ここの原発のプロトタイプ時代からの生き証人ですね」

「人間に例えれば、単なる古株老人だ。まあ、メイルやロボットを人間に例えるのもおかしな話だがな」

軽作業用のメイルはサニーを包み込んで複雑に絡む鉄骨を合理的かつ器用に外して行く。

「ありがとうございます。何とか脱出出来そうです」

「良かった」

「皆さん、ご無事でしたか?」

「酷い荒らされ様だな。よし。早速制御に取り掛かろう。状況分析と緊急用データは取り込めているかな?」

三人の技師はアンから各々のタブレットパソコンに事態のデータの転送を受ける。

「何故膨大なエネルギーを外部へ出力したのでしょうね」

「可能性のひとつだが…」

技師のリーダーはアンの問いに、手を休めずに答える。

「君達もそうだろうが、何かを初動するには膨大なエネルギーを必要とする。例えば車は停止状態から最初に動かす時が一番エネルギーを消費するだろう。その助けを得るのに、通常の蓄電で得られない熱量をこの最新鋭の原発に求めたのだろう」

「つまり、それだけ起動にエネルギーを消費する何かを…」

「それ以外、この原発の出力を一気に倍増させるだけの瞬発的な需要は見当たらないだろうな」

ー「聞こえましたか?難破刑事」

ー「ああ。奴らは何か新しい悪事を計画していて、それが進行している可能性があるんだな。もしかしたら既に目的を達成して新しい物が稼働しているかもしれない」

「我々はまずこの原発の暴走を阻止するのに全力を尽くします。後は警察にお願いするしかない」

リーダーの技師は相変わらず手を休める事無く難破刑事に伝わる様にアンに向けて言う。

ー「まずは原発をよろしくお願いします」

「分かりましたよ。刑事さん」

「お三方が制御室に入られたそうです」

セイラの声に安堵の表情を見せる原発の職員達。

偽書】虹メイル・アン 〔第六話〕緑の大地に英雄は眠る 21

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