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嗚呼ウナギ

「いい店があるから、行こうや」

なじみ客だというYさんに

前から誘われていたのだが

なかなか機会がなかった

「昼の間店を閉めちゃって行こう」

このところ

売り上げもはかばかしくない

ちょっとばかり閉めても

影響はなかろうと

あらためてのお誘いにのって

昼のウナギに乗り込んだ

新居町の鰻屋K

小さな店だが

30年ほど前から始まった店だ

通りかかるたびに

気になってはいたのだが

ようやくデビューとなった

実は店主御夫妻とは

別の接点で顔なじみ

「やあ、お久しぶりです」

「おお、お変わりなく」

10席もないほどの店内は満員

ようやくひとつ空いている小さなテーブルに

我らとYさん夫婦4人で詰め詰めに座った

ゆっくり待っていると

「お待たせしましたね」

店の奥さんが膳を運んでくれた

「いただきます」

うな重の蓋を開け

しげしげと観察

重箱のご飯の上に乗っているウナギは

光沢も色具合も王道だ

シンプルだが

よい姿である

ウナギに箸を入れ

身を裂く

柔らかく心地よく箸が通り

ちょうど良い一片

まずはそのウナちゃんを

パクリ

良き哉、良き哉

ちょっと濃いめの味付けだが

くどくはない

次はご飯とともに

バクッ

旨い,旨い

あとは夢中で

次から次に…

「アンクルさん

 ずいぶん早いのう」

Yさんがあきれ顔で言う

「やあ、これは…」

そう、ゆっくり噛みしめなくては…

ウナギてえものを

だれがこんなして食べようなんて

思いついたのでしょうね

この不思議な食し方は

しかしまあ

ばかうまですよこれは…

ぼそぼそ言いながら食べたくなる

良い店を

またひとつ知った